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はじめに
皆さん、こんにちは。八幡平市で地域おこし協力隊をしている赤川です。
八幡平市内でもイノシシによる農作物被害や住宅地への出没が年々増加しており、私たちの暮らしに深刻な影響を与えています。
しかし、イノシシの生態と行動パターンを理解した上で、正しい防除対策を講じれば、被害を大きく減らすことができます。
ポイントは「イノシシを近づけさせない環境をつくること」です。
イノシシの行動は「食べ物・隠れ場所・安全」に基づく
イノシシは本来、山林を住処とする動物ですが、近年ではエサを求めて里山や市街地に出没するケースが増えています。彼らの行動パターンには明確な理由があります。
- 食べ物:イノシシは雑食性で、特に秋から冬にかけてはドングリ、果実、野菜、イモ類、穀物を求めて動き回ります。人間の畑や生ゴミは絶好の餌場となります。
- 隠れ場所:草むらや藪、耕作放棄地などはイノシシにとって格好の隠れ家です。安全に身を潜める場所があれば、そこを拠点に活動します。
- 繁殖力:イノシシは年に1回、3〜5頭程度の子を産み、繁殖力が高いため、個体数が急増する傾向にあります。
これらの理由から、イノシシが「安心してエサを取れる」「安全に隠れられる」環境があると、被害が拡大していくのです。
効果的なイノシシ防除の実践方法
それでは、実際にどのような対策を講じることで、イノシシの被害を防げるのでしょうか。ここでは、一般的に推奨されている防除対策を紹介します。
1. 電気柵の設置
イノシシ対策の定番が電気柵です。地上から20cm、40cm高さに2段で設置することで、鼻先で感電しやすくなります。設置する際のポイントは以下のとおりです。
- 地面と下段ワイヤの間隔を狭くする(20cm以内)
- 雑草により漏電を防ぐため、柵周辺の草刈りを定期的に行う
- 電源の点検・バッテリーの管理をこまめに行う
電気柵は「心理的なバリア」として非常に効果がありますが、適切に設置・維持管理しなければその効果は薄れてしまいます。
2. 餌場をつくらない(誘引物の除去)
農作物や家庭菜園の野菜だけでなく、生ゴミや堆肥、果実の残りなどもイノシシを引き寄せる原因となります。
- 家庭や農地周辺のゴミの適切な管理
- 落ちた果実や収穫残さをそのままにしない
- 獣道付近にあるコンポストの設置場所を再考する
「ここに来てもエサがない」と学習させることで、イノシシの行動範囲を変えることができます。
3. 耕作放棄地や藪の管理
イノシシは草むらや藪など、人目を避けやすい場所を好みます。近年、農業人口の減少により耕作放棄地が増加し、それがイノシシの潜伏場所になっています。
- 草刈りや伐採による視界の確保
- 耕作放棄地の一時的な利用(ソーラーパネルや資材置き場等)
- 地域ぐるみでの環境整備
八幡平市としても、今後の被害状況次第で、地域の方々と協力し、これらの隠れ家を減らす取り組みを推進していく予定です。
4. 足跡や糞などの痕跡確認による早期対応
イノシシの侵入経路や行動範囲を把握することは、効果的な防除の第一歩です。
- 泥付きの足跡や掘り返し痕があるかチェック
- 糞の大きさや新しさから最近の通過を判断
- 獣道・通り道にカメラを設置し動向を把握
現場での「気づき」が、次の防除行動に繋がります。

まとめ:環境整備と地域の連携がイノシシ対策のカギ
繰り返しになりますが、イノシシの被害を防ぐには、「侵入させない環境づくり」が最も大切です。そのためには、防護柵の設置や環境管理だけでなく、地域住民の方々との連携が必要不可欠です。
私たち行政のチームも、地域の皆さんと協力しながら、
- 定期的な巡回や聞き取り
- 情報提供(LINE配信・広報誌)
- 防除資材の貸出・助成制度の案内
などを通じて、地域ぐるみでの取り組みを支援しています。
イノシシ対策に「完璧な正解」はありませんが、少しの工夫と早めの対応で被害を最小限に抑えることは可能です。今後もこのブログでは、現場で得た知見や事例をもとに、地域の皆さんのお役に立てる情報を発信していきます。
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